今回の研究は、システマティックレビューで、社会的な孤独・孤立が、小児の心理にどう影響するかを検討しています。
新型コロナウイルス感染を背景にした研究ではないですが、今は重要な論文と考えたため、ご紹介させていただきます。
社会的な孤立・孤独は、
- 将来のメンタルヘルス(最長で9年後)に影響する
- 女児の場合は抑うつに影響しやすい
- 男児の場合は不安に影響しやすい
- 孤立・孤独の期間が長いほど、将来のメンタルヘルスに与える影響が大きい
小児の孤独と心理をテーマに、過去70年分の論文を検索した研究になります。
研究の概要
背景
新型コロナウイルスの流行を封じ込めるために、広範囲にわたる社会的隔離が必要とされました。
本研究では、これらが、小児の精神衛生にどのように影響するかを評価しています。
方法
この迅速レビュー(rapid review)では、 MEDLINE, PSYCHINFO,およびWeb of Scienceを利用して、 1946年1月1日〜2020年3月29日で公開された論文を検索しています。
事前に決めた基準では、20%の文献は重複しており、20%の抽出されたデータも重複していました。
結果
83の論文(80の研究)が組み入れ基準を満たしていました。
生来健康であった小児(n=51,576;平均年齢15.3歳)において、社会的孤立および孤独が精神衛生に与える影響について報告した研究は63件であった。
この63件のうち61件は観察研究であった:
- 18件:縦断研究
- 43件:横断研究
が自己報告で孤独感を評価しています。
縦断研究は方法論的には優れているものの、研究はバイアスのリスクが高かったようです。
社会的孤立および孤独感は、抑うつのリスクを増加させたようです。
さらに、社会的孤立は、測定された時点および0.25~9年後の不安のリスクが上昇する可能性があったようです。
さらに、孤独感の持続時間は、孤独感の強さよりも精神衛生状態の悪化と強く相関していました。
結論
小児は、強制的隔離の終了中および終了後に、抑うつや不安を経験する可能性が高い。
これは、強制的隔離の期間が長引くにつれて、抑うつ・不安感のリスクが増加する可能性があります。
可能であれば早期介入を提供し、メンタルヘルス問題の増加に備えるべきです。
感想と考察
今回の研究は新型コロナに限ったものではありませんが、小児(主に学生)の社会的な孤独・孤立が、メンタルヘルスに与える影響を見ていました。
結論を要約すると、社会的な孤立・孤独は、
- 将来のメンタルヘルス(最長で9年後)に影響する
- 女児の場合は抑うつに影響しやすい
- 男児の場合は不安に影響しやすい
- 孤立・孤独の期間が長いほど、将来のメンタルヘルスに与える影響が大きい
の4点が記されていました。
新型コロナを封じ込めるため、学校でも様々な対策が行われ、その1つとして学校閉鎖がありました。子供達にどのような心理的な影響があったのか、一時的なものだけでなく、長期的な視点も必要でしょうね。
まとめ
小児の社会的孤立・孤独は、将来のメンタルヘルスにどう影響するか検討しています。
孤立や孤独は、メンタルヘルスに悪影響があり、女児の場合は抑うつが、男児の場合は不安に影響しやすかったようです。
また、孤立や孤独の期間は長いほど、悪影響を与える可能性が高いようです。
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