- 赤ちゃんの便の回数が多いです
- 便の回数って何回あるものですか?
- 便があまり出ないのですが、大丈夫ですか?
赤ちゃんは成人ほど排便習慣が確立していないため、排便に関してトラブルが生じることがあります。
排便の正常・異常に関して、まずは正常な経過を知ることが重要と思います。
今回は、新生児の基準となるデータを見つけましたので、そちらの論文を見てみましょう。
- 新生児の排便回数を調査した研究
- 出生後4〜6日がピークで、1日4回以上が平均
- 授乳方法で排便回数は微妙に異なる
Pediatrics Vol. 10, Issue 4 1 Oct 1952
1940〜50年代の論文です。
赤ちゃんは1日に便を何回するのか?[新生児]
研究の背景/目的
生後一週間の正常児800例の排便回数を統計的に検討した。
研究の方法
この研究が行われた施設で出生した2500g以上の新生児が対象であった。
異なる方法で母乳・ミルクを与えられた800人の乳児で構成され、
- 母乳+母子同室で時間は自由:200人
- 母乳+4時間おき:200人
- 粉ミルク+母子同室で時間は自由:200人
- 粉ミルク+4時間おき:200人
。解析は排便回数とばらつきの観点から行った。
研究の結果
正常パターンでは、生後5日目までの便の回数は上昇する傾向であった。
排便回数のピークは3~6日であるが, 各日の平均値の変動は非常に大きかった。
異なる哺乳方法のグループ間と、同一グループでの日程による変動では、後者のお方が大きかった。
便の数に関しては、人工乳で育てられた赤ちゃんは、授乳方法に関係なく、母乳で育てられた赤ちゃんよりも多い便の回数であった。
赤ちゃんの要求に応じて粉ミルクを与えた場合、最初の2日間においては、多くの排便を排出する傾向にあった。
また、このグループは1日当たりの排便回数が最も変動していた。
結論
出生後の最初の7日間において、排便の回数が、栄養の方法によって異なるかを検証した。
考察と感想
便の回数がどのくらいか、真面目に検討した研究があったことに驚きました。
800人のデータは以下の通りです:
出生後 | 回数 |
0日 | 1.4 |
1日 | 3.2 |
2日 | 3.7 |
3日 | 4.2 |
4日 | 4.3 |
5日 | 4.4 |
6日 | 4.2 |
7日 | 4.0 |
生後5〜6日当たりがピークのようですね。
あとは、授乳方法による違いも検討しており、この時期は粉ミルクの方が排便回数が多いようですね。
おそらくですが、母乳より粉ミルクの方が摂取量が多くなるため、この時期は便が出やすくなるのでしょう。
まとめ
今回は、正常な新生児の排便回数についての研究でした。
出生後から4〜6日くらいまでは排便回数が徐々に増えていく傾向にあったようです。
また、授乳方法によって排便回数は微妙に異なるようです。
まとめnoteもあります。
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