小児科

小児科医がこどもの便秘について解説します

こどもの便秘のポイント

こどもの便秘の治療のポイントは、こちらです;

  • 便秘とは「便が溜まり排出できない状態」です
  • 便秘は生活習慣と密接につながっています
  • 治療は、浣腸、坐薬、飲み薬、生活習慣の指導です
  • 1日1回以上の排便が理想的です
Dr.KID
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まずはポイントを押さえましょう。

便秘症ってなんですか?

便秘症とは『便(うんち)が大量に溜まって、日常生活に支障があり、診療や治療を必要とする状態』 をいいます。

例えば、

  • 便が数日に1回しか出ず
  • トイレで毎回のようにいきむ
  • 排便時に肛門が切れて痛い・出血する

場合に該当します。

便秘症は放置すると慢性化します

便秘症は放置すると慢性化します。
『便秘くらい、様子見ていていいでしょう』
とあなどってはいけません。

溜まったウンチのせいで直腸(肛門の手前の腸)が伸びきってしまい、『うんちをしたい』という刺激を感じなくなるためです。
ですので、どんどん腸の中に便が溜まっていきます。

 

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溜まると出づらくなり、さらに溜まるという悪循環…

便秘は放置すると、様々な症状が出ます

便が腸に溜まっても、出口である肛門の大きさは変わらりません。
このため、うんちを出す時に、肛門が切れて痛みを感じます。
便秘の子供は、排便に対して恐怖心がある子が多いです。

 また、便器が長引くと、だるい・気持ち悪いといった、不定愁訴も多くなります。
便秘は生活習慣と密接に関わっています。

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不定愁訴のお子さんで、色々と質問をすると、実は便秘だったということもあります。

便秘症の診断基準について

実は医学的に「便秘症」の基準があります。
便秘症の診断基準としてRome III分類というのが有名で、おおまかには以下のように示せます:

  1. 1週間に2回以下の排便
  2. トイレで排便できる子が、週1回の便失禁
  3. 過度の便の貯留あり
  4. 痛みを伴う便、硬い便をしたことがある
  5. 直腸に大きな便塊がある
  6. トイレが詰まるくらいの大きな便をしたことがある

の6項目のうち、1ヶ月以上にわたり2つ以上の項目が該当する場合、医学的に「便秘症」と診断します。

便秘の治療について

便秘治療は以下の通りです;

  1. 溜まった便の除去
  2. 生活・食事の指導
  3. 内服で便を軟らかくする

の3点を行います。

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治療のポイントは3つ

1.溜まった便の除去(便塊除去)

『とにかくウンチを出す! 』が大事です。
便秘症になると、ウンチが腸に大量に溜まってしまいます。
溜まったウンチが、出口である肛門を塞ぐため、余計に便が出づらくなります。

 

このため溜まった便を取り除き、便の通りを良くするのが重要です。

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出口を塞いでしまっているので、ここを解除する必要があります。

便をとにかく出しましょう

便秘の治療の最初は、便をとにかく出すことから始めます。
便を積極的に出したほうがよいケースは:

  • 腹部や直腸の診察で便塊を触れる
  • レントゲンなど画像検査で直腸に便を認める
  • いきんでいるが出ない
  • 便の漏れ(漏便)がある
  • 少量の硬い便が毎日のようにでる
  • 最後の排便から5日以上たっている

などの症状を伴う場合でしょう。

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とにかく排便習慣を確立させるのが目標

便の排出を促すために…

便の排出を促す治療として:

  • 浣腸(グリセリン浣腸)
  • 坐薬(テレミンソフト)
  • 内服(ラキソベロン)

が代表的な治療です。

乳幼児であれば浣腸を使用することが多いですが、嫌がる場合には坐薬や内服を使用することもあります。
病院で処方をしてもらうか、市販のイチジク浣腸などを使用されてみると良いでしょう。

 

 2.生活と食事の指導

浣腸だけでは便秘を繰り返すことが多いので、食習慣の改善を指導します。
食生活のポイントは;

  • 水分をしっかりとる

  • 食物繊維の多い食事をとる

  • リンゴを摂取する

  • 乳製品を避ける

  • 規則正しい生活をする

などをオススメしています。
食事はなるべく決まった時間に3食とり、お菓子をダラダラ食べるのを避けると良いでしょう。

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食生活の見直しもします。

トイレ・トレーニングは保護者が怒ってはいけませんよ

 2〜3歳でトイレトレーニングをおこなっている場合、叱りすぎないようにするとよいでしょう。
こどもの便が出ない焦りからか、保護者が神経質になりすぎているケースがありますので、おおらかに見守るようにするとよいでしょう。

『ウンチ、出しなさい!!』
と怒っても、子供は思う通りには便を出せないものです。

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焦るお気持ちは十分に分かりますが、怒って治る疾患ではありません。

3.内服での治療法

マグネシウム製剤など、ウンチを柔らかくする薬を使用します。
酸化マグネシウムは水分を腸の中に引き寄せて腸の体積を増加させることで、腸蠕動を活発になせます。

特に浣腸で便の塊を取り便の通りを良くした後に行うとよいでしょう。
ただし、酸化マグネシウムは腎臓の悪い患者さんには、使用できないので、注意してください。

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ウンチを柔らかくして、出やすいように。

便秘の治療は気長に

浣腸をして、生活習慣を変えて、内服薬を開始しても、便秘は一朝一夕では治りません。
ですので、治療は長期間必要なことを、まずは心得てください。

6ヶ月で排便習慣がつく患児は50%くらいで、通常は6〜12ヶ月くらいの治療を要します。
服薬が中止できるのも2年以内で50%くらいの子どもです。

早く中止しすぎると、再発しやすいため、慎重に薬の量を減らす必要があります。 便秘の治療は気長に行いましょう。

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時間はかかりますが、治療を続けていくと、徐々に便が出やすくなってきます。

 

ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。