過去4回にわたって、異なるトイレトレーニング方法について解説してきました。
欧米社会で使用されている2つの主要トイレトレーニング法は、子供向け法とアズリンとフォックス法(Azrin and Foxx method)です。
どちらの方法も、トイレトレーニングは生後約18カ月から開始し、2~3歳の間にトイレトレーニングを完了させることを目標にしています(ただ、全員が達成可能でないことは自明です)。
この2つの方法は、目標の発達、エンドポイント、および小児の自尊心の強調に関して異なる解釈がされています。
その他のトイレトレーニング方法には、オペラントコンディショニング法および補助乳児トイレトレーニング法など、いくつかのバリエーションがあります。
Child Oriented Method
Child oriented methodはこちらで解説しています:
1962年、Brazelton氏は段階的なトレーニングに焦点を当てた子ども向けプログラムを開発しました。
画期的だったのは、親と子供が「トイレトレーニングを始める準備ができている」と判断する方法を説明した点にあります。
トイレの準備は、子供と親のトイレトレーニングへの参加意欲の「組み合わせ」と考えてられています。
つまり、親は、子供が「トイレトレーニングを始める準備ができた」という兆候に反応します。さらに、親は児のトイレトレーニングを進んで行い、トレーニング上のつまづきやすい点を認識していた方が良いでしょう。
子供側の準備
小児は生理的および行動的にトイレトレーニングの準備ができていなければならない
小児の準備能力の例としては、ある程度の
- 排尿および排便のコントロール
- 指示に協力するための神経学的に成熟していること
- 自発的にトイレトレーニングに参加する意欲
などがあげられます。
これらの要素は生後18カ月くらいを目処に発達してくると考えられています。現代のトイレトレーニング法は1歳半〜2歳以降から開始する家庭が多いですが、これもある程度理にかなった時期なのです。
トイレトレーニングの手順
トイレトレーニングを行うには、自分の使用するおまるや補助便座に慣れて、服を着た状態で座ることから始めます。
協力が得られれば、おむつなしで座らせてみます。
次のステップは、おむつの中身をおまるの中に入れ、子どもに排泄の場所を説明することです(補助便座だと難しいかもしれません)。
子供がおまるや補助便座を理解したら、それを自分で使うように促し、トレーニングパンツをはくようにします。
詳細はこちら↓
[記事をはる]
Azrin & Foxx法
1960〜70年代にかけて、行動分析や構造化した行動訓練は人気がありました。このトレンドが、トイレトレーニングに適用されるようになりました。
Azrin & Foxx法は1971年に開発され、子供中心の方法の1つです。この方法では、構造化行動エンドポイント訓練を強調している点が特徴的です。
トイレトレーニングに必要な要素や技術を1つずつ教えることで、独立したイベントの特定の連鎖を引き出すことを目的にしています。
Azrin と Foxx法は、元々は排尿コントロールを達成するため設計されたのですが、排便コントロールに応用することも可能です。
トイトレ準備の特徴
Azrin and Foxx法は、子供がトイレトレーニングの準備ができているかどうかを判断するための客観的基準を記述しています。
要素スキルには、
- 生理的準備
(排尿せずオムツが乾いている期間があり、トイレトレーニングに関連した動きができる) - 心理的準備 (指導技術に従うことができる)
の両方が含まれています。
生理的準備は、個々のトイレに必要な適切な筋緊張を評価します。
例えば、短い距離を歩く、服を着る、背筋を伸ばすなどが該当します。
小児が親の指示を理解し、トイレトレーニングを受ける意欲があるかどうかは、心理的な準備によって決まる。
心理学的要素の例としては、身体の部位を指し示す、模倣する能力が挙げられる。
これら準備に必要な条件の大部分を満たすことで、子供は適切な時間におむつを外せ、トイレトレーニングを完了することを最終目標にしています。
トイトレの心構え
Azrin & Foxx法は、小児は適切な除去刺激(おむつを外す刺激)を認識することで開始します。これは、
- 水分摂取量の増加
- トイレトレーニング時間のスケジューリング
- うまくできた時の正の強化(報酬を与える・褒める)
- 失敗を矯正する
という4段階で実行されるモデルです。
Azrin & Foxx法の問題点
Azrin & Foxx法の問題点ですが、本質的に厳格で集中的である点です。
このため、トイレトレーニング開始時にかんしゃくを起こす小児もいます。さらに、決められた時間にトイトレをすることに、否定的な反応を示す小児も多数います。
これらの問題点を解決する方法として、トイトレをさらに段階的に指導することで、小児からのトイトレに対する抵抗が軽減されることもあるようです。
オペラント条件付け
Child Oriented 法およびAzrin & Foxx法は、元々オペラント条件付けを組み込んでいます。
近年のトイレトレーニング法では、基本的にオペラント条件付け技術が使用されている。
オペラント条件づけの目標は、報酬を与えることで積極的な強化を促します。その結果、習慣と適切な行動を確立が可能となります。
トイレで排泄に成功した場合の一般的な報酬には、親の愛情、おもちゃ、キャンディなどがある。
失敗した際に、罰や否定的な感情を向ける方法がかつては行われていましたが、現代ではその方法は推奨されていません。「罰しない・焦らない・怒らない」はトイトレの3大原則です。
Assisted infant toilet training
補助乳児トイレトレーニングとでも訳すのでしょうか。
このトイレトレーニング法は、中国、インド、アフリカ、南米、中米、およびヨーロッパの一部で使用されていますが、その効果については、あまり研究されていないという欠点があります。
補助乳児トイレトレーニングの方法について
生後2~3週に、排便と排尿コントロールのトレーニングを同時に開始します。
例えば、乳児が大量に哺乳したり、離乳食を摂取した場合、排泄の徴候がみられることがあります。この時に、排泄すべき位置(おまるや補助便座、トイレ)に連れて行き排泄させる方法です。
第1段階
乳児が排尿する可能性が高い場合は、特別な体位にして親が「シュー」などと音を立て、乳児が排尿と関連することを学習させます。
乳児が特定の音に反応して排泄した場合、報酬を与えます。
この条件づけを通して、乳児は排尿の必要性をよりよく理解し、排尿位置をとるために親の上をはい回ることが期待される。
体位以外は、同じ方法で排便訓練を行います。生後1年間は排泄を失敗しても罰せられません(個人的に、1歳を超えたら罰して良い、という考えのこの方法は批判されるべきと考えています)。
第2段階
幼児を訓練するために使用される第2の方法は、幼児とおまるとの関係を確立する3段階アプローチである。
最初は、親が子供の排泄の兆候を識別する。児の排泄が予想される場合、親は児の注意をオマルに向け、児をオマルの上に置きます。
おまるに乗せてから3分以内の排泄を繰り返すことで、確実にトレーニングされて行きます。
第2段階では、乳児はおまるに座る前に手を伸ばしたりつかんだりしようとします。
第3段階では、排泄前にトイレへの自発的な到達を確立する。
この方法に対する批判
しかし、この方法は多くの専門家に批判されていいます。例えば、親は乳児の排泄シグナルを学習しなければならない点です。このため、「親の訓練」方法と批判されており、トイトレを進めるには、親が子供の合図を認識し理解しなければいけないのです。
Early Elimination 法について
Early Elimination法は、その名の通り「早期(Early)」におむつを「外す(Elimination)」試みを言います。
最近、欧米諸国では、幼児のトイレトレーニングに対する関心が高まっています。排泄に関するコミュニケーションを行うには、アフリカなどで用いられている補助的乳児用トイレトレーニング法と同様ですが(上述)、親は乳児のボディーランゲージ、お腹の雑音、腸および膀胱のリズムを認識し、いつ排泄するかを決定することを学ぶ必要がある。
その後、乳児を洗面台、トイレ、または特別に設計された小型のおまるの上に置き、流水音を聞かせます。この方法は出生時に開始することが推奨されています。
詳しくはこちらに記載していますが、とても推奨できる代物ではありません:
ニュースなどでも話題に?
2005年以降、北米の多くの有力な新聞や雑誌が、Early Eliminationをトピックにして、この方法を「トイトレ」に促進ような記事を掲載している。
この方法の主な利点は、新聞紙曰く「おむつ費用の減少、環境を汚染する使い捨ておむつの減少、乳幼児と親の絆の強化、および乳児の快適性の増加」とのことです。
New York Times、Boston Globe、National Post、Peopleなどの雑誌の記事に加えて、Early Eliminationに関するコミュニケーションを促進するウェブサイトやインターネットの掲示板もありるようです:
- www.diaperfreebaby.org
- http://www.timl.com/ipt/
- http://www.theecstore.com
- http://www.natural-wisdom.com
これらの記事は、両親による逸話、体験談など、いわゆる証言を集めたものばかりで、エビデンスレベルとしては症例集積のように低いです。
記載されている方法の有効性を評価する研究の参考文献によって裏付けられておらず、基本的には推奨されない方法です。
まとめ
今回は、トイトレの方法論についてをまとめ、少しだけ補足しました。それぞれの方法が全体像としてつかめればと思います。
各方法論についても、リンクを貼りましたので、そちらを参考にしていただければと思います。