成人においては、慢性ITPにおけるピロリ菌の除菌効果は広く知られているかもしれません。
一方で、小児の報告は少なく、今回はフィンランドで行われた研究を見つけたため、紹介させていただこうと思います。
ITPはかつて特発性血小板減少性紫斑病 or 免疫性血小板減少性紫斑病、その後、免疫性血小板減少症と呼び名が変わっています。
研究の概要
背景・目的
Helicobacter pyloriはITPを含む自己免疫疾患と関連している。
H.pylori感染率は国によって大きく異なり、先進国では過去数十年間で減少し、その頻度は年齢とともに増加することはよく知られている。
最近、 HLAクラスII対立遺伝子のパターンが、 H.pylori感染の異なる発生率およびITPの異なる疾患像を有する患者群を同定する可能性があることを示唆した。
実際、成人のH.pylori除菌は、イタリアおよび日本の患者では血小板回復と関連していたが、スペインの患者では関連していない。
著者らの知る限り、 ITPの小児患者からH.pyloriのデータは発表されていない。
方法
慢性ITPの小児17人におけるH.pylori感染の罹患率を検討した。
患者は、少なくとも6か月持続した孤立性の血小板減少症で、骨髄において正常または増加した巨核球増加症を有した。
診断時の年齢中央値は3.8歳(範囲、0.3-14.3年)であり、研究時の血小板減少症の期間中央値は3.9年(範囲、0.6-14.5年)であった。
インフォームドコンセントの後、 17名の継続患者のルーチンの外来診療時に、血清H pylori IgAとIgG抗体を測定した。
5歳以上の患者(n=12)では尿素呼気試験も実施した。
異常が認められた場合は、便検体でH.pylori抗原測定を行った。
結果
H.pylori感染は17名の患者のいずれにおいても診断されなかった。
1名の患者は血清IgG抗体はボーダーライン力価を有したが、クラスIgA抗体は陰性で便中に抗原は検出されなかった。
他の2人の患者は、呼吸試験陽性であったが、血清抗体試験および糞便抗原試験は陰性であった。
結論
ITPは小児と成人で異なる臨床的特徴を有する自己免疫疾患である。
一部の成人ITP患者ではH.pylori感染が血小板減少症の病因として重要であるが、小児、特にH.pylori感染率の低いフィンランド人集団ではそうではない可能性がある
考察と感想
17名の慢性ITPの小児において、ピロリ菌を検査したけれども、陽性者がいなかったよいう報告ですね。
陽性者がいなければ、当然ですが、除菌の有効性を調べることはできないですね。
まとめ
今回は、小児において、慢性ITPでピロリ菌の感染率を調査した研究です。
スウェーデンの慢性ITPの小児17名において、ピロリ菌感染者はいなかったようです。
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