今回は、スウェーデンにおいて抗菌薬の使用率の減少を目標としたナショナル・アクション・プランを解説した論文の概略についてです。
- スウェーデンでは、20年かけて抗菌薬の使用率は減少傾向に成功
- 乳幼児への処方率が最も大きく減少
抗菌薬の適正使用の研究は、北欧やオランダなどが頑張っている印象です。
研究の概要
抗菌薬の使用量の増加と耐性菌の割合の上昇は、世界的にも公衆衛生上の問題と考えられている。
この問題を封じ込めるために何らかの取り組みが必要であるが、成功させるためには、コミュニケーションと普及が必要である。
スウェーデンでは、南部地域での耐性肺炎球菌の急速な蔓延を契機として、1995年に薬剤耐性菌に対する戦略・計画が策定された。
このプログラムの創設は、国内の薬剤耐性菌に取り組むための長期的な戦略の重要な出発点となった。
このプログラムの主な戦略、すなわち地方および国レベルでの取り組みに関しては、
- 抗生物質使用をモニタリングし、その情報に基づいて意思決定する
- 国として、抗生物質処方の目標を掲げる
- 耐性菌のサーベイランスとトレンドの追跡
- 耐性菌の拡大を抑えるための感染制御
- コミュニケーションをして、行動変化に対する意識を高める
ことが挙げられます。
長期的な変化を達成するための重要な要素は、地域レベルでの医療者との緊密な連携を含むボトムアップアプローチである。
ここで述べた研究と得られた教訓は、抗菌薬耐性菌に対して計画を立てて取り組んでいる国々に情報を与えることができる。
考察と感想
この論文に掲載された図を見ると、抗菌薬の処方率が緩やかに、しかし確実に減少しているのが分かります。
(論文より拝借)
特に乳幼児への処方が急速に減っているのが分かります。その率は、
- 1328処方 per 1000 inhabitants: 1992
- 349処方 per 1000 inhabitants: 2015
と、73%もの減少が分かります。
まとめ
今回は、スウェーデンにおいて、約20年間の抗菌薬の使用率の推移と取り組みを解説した論文の紹介でした。
意外にも、国レベルの取り組みで、小児への処方率の減少が、最も大きかったようです。
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