- 1歳未満の赤ちゃんに甘い飲み物(ジュースなど)をあげると、クセになるからダメ
などと指導されたことがある方がいるかもしれません。どうやらこの格言には科学的根拠が存在するようです。
実際、1歳未満の乳児にフルーツジュースは栄養面でメリットがなく、さらに成長や発達に悪影響を及ぼす可能性があるため、アメリカ小児科学会をはじめとした多くの学術団体はお勧めしていません。
味覚が未熟な乳児期に甘い飲み物を飲みすぎると、その後も甘いものを好んで食べたり、偏食を来したりという懸念がありますが、これまでの研究では検討されたものがありませんでした。
今回は小児を2年半ほど追跡した研究がありましたので、こちらでご紹介させていただければと思います。
少し古い研究ですが、ご容赦いただければと思います。
研究の方法
今回の研究は63人の黒人乳児を2年半ほど追跡したコホート研究です。
乳児期、1歳児、3歳児に水と糖水をどのくらい飲むかを計測しています。さらに、生後6〜12ヶ月までの間に、家庭で糖水を習慣的に飲ませていたかを聴取して、1歳未満に甘いものを飲ませると、その後の甘い飲物の摂取量にどのくらい影響するかを検討しています。
この研究では、
- 真水
- 2 M sucrose (ショ糖)
- 6 M sucrose (ショ糖)
の3種類の飲物を数日間にわけて与えています。
研究結果と考察
出生直後の飲水量
こちらは出生直後の飲水量をみています。
こちらの場合、これから
- 甘い飲物を飲まないグループ(1)
- 生後6ヶ月まで甘い飲物を飲むグループ(2)
- 生後6ヶ月以降も甘い飲物を飲むグループ(3)
の順に比較しています。色が薄くなるほど、甘味が強くなっています。
どのグループも甘い飲物ほど多く飲む傾向にありましたが、3つのグループで違いはなさそうでした。
生まれ持って甘い飲物が好きな赤ちゃんが、その後も甘いものを好んで多く飲んでいるわけではなさそうですね。
生後6ヶ月の飲水量
こちらの結果は生後6ヶ月での飲水量を比較しています。
甘い飲物(糖水など)を飲まなかった子は、真水でも糖水でも同じ量を飲むだけでした。
一方で、生後6ヶ月までor その後も甘い飲物を飲むグループは、甘い飲物ほど多く飲む傾向にあります。
生後2歳
2歳になってからもこの傾向は変わらず、生後6ヶ月まで糖水など甘いものを習慣的に飲んでいた乳児や、生後6ヶ月以降も飲んでいた乳児は、2歳時点で甘い飲物を飲むと大量に飲む傾向にありました。
考察と感想
今回の研究では、1歳未満に甘いものを習慣的に飲んでいると、その後も甘いものを多く飲む傾向にありました。甘い飲料の味を覚えて、以降、沢山飲まないと満足できなくなってしまったのでしょうか。
もちろんランダム化比較試験ではないので強い因果関係を示すものではありませんし、家庭の食生活の違いなども影響しているとは思います。とはいえ、よくデザインされた研究で、最初の時点で3つのグループにそれほど違いがなく、後天的な食環境で甘さへの好みが変わってきてしまうのは面白い結果だと思います。
まとめ
生後1歳未満で甘い飲料を習慣的に飲んでいると、甘さへの好みができて、その後に甘い飲料を好んで必要以上に多く飲む傾向にありました。
1歳未満は果汁を含めフルーツジュースを控えるようにAAPなど各学術団体は勧告している点も留意しておくべきでしょう。
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