小児科外来では感冒を診療するケースが多いですが、どのくらいその症状が続くか気にされる保護者は多いです。
そのため、小児を診療する機会のある医師は、その目安を知っておくと良いのではないでしょうか。
今回は、風邪の症状がどのくらい持続するかを検討した研究についてご紹介しようと思います。
- かぜ診療の症状について検討した研究
システマティックレビューとメタ解析の結果です。
小児のかぜの症状はどのくらい持続する?[システマティックレビュー編]
研究の背景/目的
プライマリケアおよび救急医療で診療する小児の一般的な呼吸器感染症の症状のが、どのくらい持続するか明らかにするため、この研究が行われた
小児における耳痛、咽頭痛、咳(急性咳嗽、気管支炎、およびクループを含む)、感冒の症状の持続期間を決定するために、既存の文献を系統的にレビューした。
研究の方法
PubMed、DARE、CINAHLを用いて、2012年7月までに公表された全ての文献を対象とした。
高所得国のプライマリケアまたは救急施設で、急性呼吸器感染症の小児を対象としたランダム化比較試験または観察研究を対象にした。
研究の質は、ランダム化比較試験ではコクランのbias risk framework、観察研究ではcritical appraisal skills programme frameworkを用いて評価した。
可能な場合には、ここのデータを統合し、症状の持続期間の割合と95%信頼区間、さらに50%と90%の子どもたちで各症状が消失したタイミングを日単位で推定した。
研究の結果
22,182件の文献のうち、23件のRCTと25件の観察研究が基準を満たしていた。
研究対象者の年齢と発症前の症状の持続期間は様々であった。
90%の小児において、耳痛は7~8日、咽頭痛は2~7日、クループは2日、気管支炎は21日、急性咳嗽は25日、感冒症状は15日、非特異的な気道感染症の症状は16日までに消失していた。
結論
耳痛や風邪の持続時間は、英国や米国の保護者に提示されている現行のガイドラインよりもかなり長い。
一方で、喉の痛み、急性咳、気管支炎、咳などの他の症状については、現行のガイドラインは私たちの知見と一致している。
現在のガイドラインを新しいエビデンスに基づいて更新することは、保護者や臨床医が呼吸器感染症を持つ小児に対するエビデンスに基づいた意思決定を支援するのに役立つであろう。
考察と感想
90%の小児が、個々の症状が回復するまでの期間の目安が:
- 耳痛は7~8日
- 咽頭痛は2~7日
- クループは2日
- 気管支炎は21日
- 急性咳嗽は25日
- 感冒症状は15日
- 非特異的な気道感染症の症状は16日
となっていました。
時間があれば、個々の研究もみてみたいところです。
まとめ
今回の研究は、小児のかぜの症状の期間について、個々の症状がどのくらい持続するかを検討した研究でした。
Dr. KIDの執筆した書籍・Note
医学書:小児のかぜ薬のエビデンス
小児のかぜ薬のエビデンスについて、システマティックレビューとメタ解析の結果を中心に解説しています。
また、これらの文献の読み方・考え方についても「Lecture」として解説しました。
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小児の診療に関わる医療者に広く読んでいただければと思います。
医学書:小児の抗菌薬のエビデンス
こちらは、私が3年間かかわってきた小児の抗菌薬の適正使用を行なった研究から生まれた書籍です。
日本の小児において、現在の抗菌薬の使用状況の何が問題で、どのようなエビデンスを知れば、実際の診療に変化をもたらせるのかを、小児感染症のエキスパートの先生と一緒に議論しながら生まれた書籍です。
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