今回は下痢の時に使用されるタンニン酸アルブミンについて簡単に解説をしていこうと思います。あまり聞きなれない成分かもしれませんが、
- タンナルビン®︎
として処方されていることがあります。
タンニン酸アルブミン(タンナルビン®︎)の作用機序
タンニン酸アルブミン(タンナルビン®︎)の作用機序ですが、腸の粘膜に結合し、粘膜の表面を覆います。これによって、腸液の分泌であったり、刺激を抑制し、結果として下痢を和らげる効果があると考えられています。
このため、腸粘膜にびらんがある例などが適応と考えられているようです。
気をつけたい点
タンニン酸アルブミンは、鉄剤の吸収を阻害してしまうため、併用するのは望ましくないと考えられています。
また、アルブミンを含有するお薬ですので、稀に過敏症を起こしてしまうこともあります。乳性カゼインを含むため、牛乳アレルギーがある場合、特に注意が必要です。
タンニン酸アルブミン(タンナルビン®︎)の処方薬
タンニン酸アルブミンの処方薬ですが、
- タンナルビン®︎
- タンニン酸アルブミン
があリます。
タンニン酸アルブミン(タンナルビン®︎)を含む市販薬
タンニン酸アルブミンを含む市販薬ですが、
- 大正下痢止め <小児用>
- ビオフェルミン止瀉薬
- 新タントーゼA
などが該当します。
タンニン酸アルブミン(タンナルビン®︎)のエビデンスについて
- PubMed
- Embase
を使用して、タンニン酸アルブミンのエビデンスを検索してみました。
例えば、「albumin tannate」とPubMedに入力しても、4件ほどしかヒットせず、小児の下痢の有効性を検討した研究は皆無です。
Embaseで見てみると
- Treatment of acute diarrhea with Tannacomp® – Results of a post marketing surveillance study in an outpatient setting Medizinische Welt 2010 61 :3 (186 – 190)
- Therapy of acute diarrhea in childhood. Intermediate evaluation of an observation study with Tannalbin® capsules. TW Padiatrie 1997 10 :9 (499 – 502)
- Traveler’s diarrhea in Turkey. A randomized comparison of medical coal vs. tannalbuminate and ethacridinlactate Medizinische Klinik 1992 87 :12 (637 – 639)
などがあるようですが、論文までたどり着くのが困難でした。
雑誌名も聞いたことのないものばかりで、おそらくですが、ローカルなものではないかと推測しています。
日本の小児でどの程度内服しているのかも報告されています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30074577
こちらの論文によると、下痢の初診患者(小児)の2.8% (128/4493)でタンニン酸アルブミンが使用されていたと報告されています。ただ、サンプル数は多くないので、もう少し大規模なデータが欲しいところですね。
まとめ
今回は、タンニン酸アルブミンの作用機序、市販薬と処方薬、処方状況に関して簡単に解説してきました。
あまりきちんとしたエビデンスはなさそうな印象で、過去に行われた研究でも文献にたどり着くのが困難でした。(RCTの結果など、ご存知の方がいらしたら、教えてください)