今回は、小児の甲状腺疾患と超音波検査に関してです。
この推奨を「choosing wisely」ではどのように記載されているのか紹介してみようと思います。
- Choosing wisely:肥満の子供における、甲状腺機能やインスリン
- 疑わしい病歴や所見のない小児に、ルーチンで検査しない
American Academy of PediatricsからのChoosing Wisely
肥満の子供では、甲状腺機能やインスリンレベルをルーチンに測定することは避ける[Choosing wisely]
Avoid routinely measuring thyroid function and/or insulin levels in children with obesity.
TSH levels can be slightly elevated in obesity but this is more likely a consequence of obesity and rarely true hypothyroidism [1, 2]. Free T4 levels are usually normal and if so there is no proven benefit to treatment when TSH is minimally elevated. Testing thyroid function in otherwise healthy children should be considered only if stature and/or height velocity is decreased in relation to the stage of puberty [3, 4].
There are significant limitations in the use of insulin levels as a marker of insulin resistance; furthermore, it is not necessary to order this test to establish a weight control management plan [3, 5]. (This item submitted jointly with the AAP Section on Obesity)
肥満の子供では、甲状腺機能やインスリンレベルをルーチンに測定することは避けるべきである。
TSHレベルは肥満でわずかに上昇することがあるが、これは肥満の結果である可能性が高く、真の甲状腺機能低下症であることはほとんどない[1, 2]。
遊離T4レベルは通常正常であり、もしそうであればTSHの上昇がわずかであっても治療の効果は証明されていない。そうでない健康な子供の甲状腺機能検査は、思春期の段階に関連して身長や身長速度が低下している場合にのみ検討すべきである[3, 4]。
インスリン抵抗性の指標としてインスリン値を使用することには大きな限界がある;さらに、体重管理計画を立てるためにこの検査を指示する必要はない[3, 5]。
この項目は、AAP Section on Obesityと共同で提出されました。
考察と感想
肥満の子供における、甲状腺機能やインスリンに関するchoosing wiselyですね。
「TSHレベルは肥満でわずかに上昇することがある」というのは知らなかったです。
参考文献を読んで勉強しようと思います:
Corrias A, Cassio A, Weber G, et al. Study Group for Thyroid Diseases of the Italian Society for Pediatric Endocrinology and Diabetology: Thyroid Nodules and Cancer in Children and Adolescents Affected by Autoimmune Thyroiditis. Arch Pediatr Adolesc Med. 2008;162(6):526-531.
Francis G, Waguespack S, Bauer A, et al. Management Guidelines for Children with Thyroid Nodules and Differentiated Thyroid Cancer: Thyroid. 2015 Jul 1; 25(7): 716–759.
まとめ
今回は、肥満の子供における、甲状腺機能やインスリンに関するchoosing wiselyをご紹介しました。
これ以外にも項目が出ているようなので、コツコツと読んでいこうと思います。
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