科学的根拠

大うつ病性障害におけるtipepidineの併用療法としての有効性と安全性:RCT

今回はチペピジン(アスベリン®︎)が成人のうつ病に併用療法として使用された研究の紹介になります。

参考文献

Hoobehfekr S, Moghaddam HS, Shalbafan M, Hashemi MG, Pirmoradi MM, Sakenian A, Poopak A, Kashefinejad S, Yarahmadi M, Akhondzadeh S. Efficacy and safety of tipepidine as adjunctive therapy in major depressive disorder: A randomized, double-blind, placebo-controlled clinical trial. Psychiatry Clin Neurosci. 2021 Feb;75(2):57-62. doi: 10.1111/pcn.13180. Epub 2020 Dec 19. PMID: 33247483.

大うつ病性障害におけるtipepidineの併用療法としての有効性と安全性:RCT 

研究の背景/目的

合成非オピオイド系去痰薬であるtipepidineは、うつ病の動物モデルにおいて、うつ病様行動を改善することが示されている。

本研究では、大うつ病性障害(MDD, Major Depressive Disorders)に対するtipepidineとcitalopramの併用療法の有効性と忍容性を検討した。

研究の方法

無作為化二重盲検プラセボ対照臨床試験において,MDD患者62名を2群に割り付け,citalopram(最大40 mg/日)+プラセボまたはcitalopram+tipepidine(30 mg 1日2回)の投与を6週間行った。

参加者は、ベースラインと第2、4、6週目にハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D, Hamilton Rating Scale for Depression)を用いて評価された。

研究の結果

56名の患者が試験を完了した。

チペピジン群は、ベースラインから3つの試験時点すべてにおいてHAM-Dスコアを改善した(P = 0.048)。

試験終了時点における寛解率および治療反応率は、tipepidine群(53.6%および100%)がプラセボ群(25.0%および75%)に比べ有意に高かった(それぞれP = 0.029 および 0.005 )。

また、tipepidine群の参加者における寛解時間および反応時間もプラセボ群に比べ短かった(log-rank P = 0.020、0.004)。

背景情報や副作用の頻度については、両群間で統計学的な有意差は認められなかった。

結論

56名の患者が試験を完了した。チペピジン群は、ベースラインから3つの試験時点すべてにおいてHAM-Dスコアを改善した(すべてにおいてP = 0.048)。試験終了時点における寛解率および治療反応率は、tipepidine群(53.6%および100%)がプラセボ群(25.0%および75%)に比べ有意に高かった(それぞれP = 0.029 および 0.005 )。また、tipepidine群の患者さんにおける寛解時間および反応時間もプラセボ群に比べ短かった(log-rank P = 0.020、0.004)。ベースラインパラメータや副作用の頻度については、両群間に有意差は認められなかった。

考察と感想

Tipepidineが思わぬ形で使用されていて驚きました。

 

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Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。