前回、こちらで小児のかぜにおけるチペピジン(アスベリン®︎)の有効性や安全性を確認した研究を、PubMed®︎やEmbase®︎を使用して網羅的に検索をしてみました。
こちらが結果になります。
1970年代に
- Effect of the combined use of tipepidine (Asverin) and trimetoquinol (Inolin) for cough in so called ”common cold”:Japanese Archives of Internal Medicine 1974 21:8 (285-289)
- Safety evaluation tests of tipepidine hibenzate (Asverin H). Asian Medical Journal 1974 17:12 (21-35)
で有効性と安全性を検討しているようですが、前者は内科宝函、後者は日本医師会が発行している雑誌のようですね。
幸運なことに、これらの文献を友人経由でいただくことができましたので、こちらで簡単にご紹介させていただければと思います。
チペピジン(アスベリン®︎)の安全性を検証した研究
まずはこちらの研究からみていきましょう。
Safety evaluation tests of tipepidine hibenzate (Asverin H). Asian Medical Journal 1974 17:12 (21-35)
この研究ではチペピジン(アスベリン®︎)の安全性と副作用を評価していますが、マウスやラットを使用した動物での実験結果でした。
マウスやラットに大量の薬を投与して、どのような副作用が出るのかをメインに見ています。(表は原著論文より拝借)
この研究では1ヶ月での急性の副作用と、3−6ヶ月内服での慢性の副作用を報告しています。
急性の副作用について
マウスにチペピジン(アスベリン®︎)を大量投与(100〜3000 mg/kg)することで認めた副作用は、
- 食欲低下
- 尿の色調変化(赤紫色の尿)
- 肝臓の肥大
などを認めています。
慢性の副作用について
マウスにチペピジン(アスベリン®︎)を大量投与(30〜3000 mg/kg)することで認めた慢性(3〜6ヶ月後)の副作用は、
- 食欲低下
- 尿の色調変化(赤紫色の尿)
- 肝臓や腎臓の肥大
- 脾臓の縮小
などを認めています。
まとめ
こちらの文献では、マウスやラットを使用して、薬の安全性と副作用を検証していました。
ヒトでの研究ではないため、必ずしも一般化できませんが、チペピジン(アスベリン®︎)を内服後に食欲が低下したり、尿の色が変化することがあるのは、臨床においても重要な点と思います。
次回は有効性を検証したこちらの論文を見てみましょう。
Effect of the combined use of tipepidine (Asverin) and trimetoquinol (Inolin) for cough in so called ”common cold”:Japanese Archives of Internal Medicine 1974 21:8 (285-289)