舌小体短縮症のポイント
先に舌小帯(ぜつしょうたい)短縮症のポイントをあげます;
- 舌の裏側のヒダが短いことを舌小体短縮症といいます
- 手術が必要なお子さんは、ごく一部のみです
- SIDS(乳児突然死症候群)とは関連ありません
この3点だけでも覚えておくと良いでしょう。
舌小帯短縮症について
“舌小帯”とは、舌の裏側についているヒダのことをいいます。
このヒダが生まれつき短かいことを”舌小帯短縮症”と呼んでいます。
舌小帯短縮症の重症度について
“舌小帯短縮症”は、軽症・中等度・重症に分類できます。
分類の仕方ですが、舌の先がどの程度あげられるかで判断します:
- 軽症:口の大きさの1/2以上
- 中等症:口の大きさの1/2以下
- 重症:下歯より上に上げられない、全くあがらない
と分類しています。
軽症について
「軽症」では、日常生活ではほとんど困りません。
ですが「ラ行」を速く言うと、舌がもつれることがあります
中等症について
「中等症」では、舌を前に出した時にハート型にくびれます。
ラ行がダ行に近くなったり、口の横に舌の先をつけることができません
重症について
「重症」では、舌を上げることができず、舌小帯がみえないことすらあります。
舌小帯短縮症の手術は本当に必要ですか?
大半のお子さんは、基本的に手術をする必要はありません。
舌小帯短縮の程度がひどく、体重増加が悪い場合に手術を行うこともあります。
ですが、体重増加が悪くなるほど重症のことは、めったにありません。
また、3歳以上で舌小帯短縮症が原因で構音障害(発音がかなり悪い)がある場合も手術を検討します。
構音のリハビリをしても、発音が著しく悪いときは、5歳くらいを目処に手術適応となります。
舌小帯短縮症とSIDS(乳児突然死症候群)について
「舌小帯短縮症は呼吸障害、低酸素脳症、発育不良となり乳児突然死症候群(SIDS)の原因となる」 という報告が過去にありました。
この報告が、本当に正しいのかしっかりと検証されず、情報のみが広がってしまいました。
しかし、その後の詳しい調査で、舌小帯短縮とSIDSとの因果関係は否定されています。
ですので「舌小帯短縮=SIDS」と考えなくてよいです。
もちろん、乳児期に手術しなくてよいことが、ほとんどです。
未だに「舌小帯短縮=SIDS」と保護者に説明をして、手術を積極的に行なっている耳鼻科クリニックや病院がありますので、注意された方がよいと思います。
参考文献
1. 仁志田博司など: 舌小帯短縮症に対する手術的治療に関する現状調査とその結果.日本小誌. 2001; 105: 520-522.