スクリーンタイム(テレビなどの画面の視聴時間)について、18〜24ヶ月未満の乳幼児は、基本的に設けないことが推奨されています。なた、2〜5歳に関しては、1時間未満が良いとされています。
今回の研究では、テレビ視聴時間にどのようなが傾向があるのかを調査しています。
-
日本の小児を対象に行なわれた縦断研究で、テレビの視聴時間の傾向と、その後の問題行動の関連性を検討しています。
-
日本の乳幼児はテレビの視聴時間が長めの傾向で、乳児期から長時間みているグループが1割弱いるようです。
-
一方で、テレビの視聴時間とその後の問題行動に関しては、あきらかな関連性は認められなかったようです。
スクリーンタイムは、米国小児科学会は2016年の改訂で、2歳未満は0時間(みせないこと)、2〜5歳は1時間までを推奨しています。テレビなどを観る際も、保護者と一緒にみることを推奨しています。
オーストラリアも似たような方針を出しています。
研究の概要
背景・目的・方法:
メディア利用と子供の発達に関する日本の縦断的研究(N=1,189)のデータを用いて、 1~5歳でのテレビ接触時間の軌跡と5歳での外在化の問題との関連性を調べた。
結果・結論:
アメリカ小児科学会は、2歳以前にはテレビ接触をしないことを推奨しており、複数のクラスは計測されないと著者らは予測していた。
しかし、growth mixture modelingを行ったところ、3つの軌跡のクラスを同定した。
これらは
- 初期からの長時間:乳児期から長く、それがずっと続く
(8%、 0歳時の平均接触時間=331.44分/日) - 初期は中等度→のちに減少する接触時間:
(41%、 236.64分/日) - 初期からの軽度の接触時間:
(51%、 147.57分/日))
の3つに分類されました。
幼児の気質的困難(かんしゃくなど)と家族の特性の両方がテレビ接触時間の分類予測に寄与していることが示唆された。
5歳時の注意問題と行動問題のスコアは軌道群間で大きな違いはなかった。
考察と感想
実際、テレビを触れていた平均時間(分/日)をみると、以下の通りだったようです。
年齢 | 全体 | 1) 長時間 |
2) 中等度 |
3) 軽度 |
0y | 194 | 331 | 237 | 148 |
1y | 204 | 460 | 257 | 138 |
2y | 164 | 360 | 221 | 101 |
3y | 150 | 299 | 214 | 90 |
4y | 134 | 237 | 203 | 74 |
5y | 130 | 197 | 195 | 79 |
問題 | 全体 | 1) 長時間型 N = 80 |
2) 中等度 N = 443 |
3) 軽度 N = 666 |
注意 | 8.0 | 8.3 (2.3) |
8.1 (2.0) |
8.0 (2.2) |
闘争 | 7.5 | 7.7 (1.8) |
7.5 (1.8) |
7.4 (1.9) |
確かに、それぞれの指標にはほとんど影響がなさそうですね。
まとめ
今回は、日本の小児を対象に行なわれた縦断研究で、テレビの視聴時間の傾向と、その後の問題行動の関連性を検討しています。
日本の乳幼児はテレビの視聴時間が長めの傾向で、乳児期から長時間みているグループが1割弱いるようです。
一方で、テレビの視聴時間とその後の問題行動に関しては、あきらかな関連性は認められなかったようです。
乳幼児のスクリーンタイムの考え方をまとめたnoteはこちらになります↓↓
Dr. KIDが執筆した医学書:
小児のかぜ薬のエビデンス
小児のかぜ薬のエビデンスについて、システマティックレビューとメタ解析の結果を中心に解説しています。
また、これらの文献の読み方・考え方についても「Lecture」として解説しました。
1冊で2度美味しい本です:
(2024/11/21 01:00:58時点 Amazon調べ-詳細)
小児の診療に関わる医療者に広く読んでいただければと思います。
小児の抗菌薬のエビデンス
こちらは、私が3年間かかわってきた小児の抗菌薬の適正使用を行なった研究から生まれた書籍です。
日本の小児において、現在の抗菌薬の使用状況の何が問題で、どのようなエビデンスを知れば、実際の診療に変化をもたらせるのかを、小児感染症のエキスパートの先生と一緒に議論しながら生まれた書籍です。
Noteもやっています
当ブログの注意点について