- 下痢の時、ミルクを薄めましょう
という指示もあるようです。
急性胃腸炎のときは、小腸の乳糖分解酵素が欠乏しやすく、さらに炭水化物やタンパク質、脂質の吸収が悪くなることが知られています。このため、ミルクを薄め、乳糖を避けた方がよいのではないか、と必要性を感じる保護者や医療者がいるようです。
今回は、この方針に科学的根拠があるか検討した論文を解説してみようと思います。
先に結論とポイントから述べましょう。
- 乳児が下痢の時、ミルクを薄める必要があるか検討
- ミルクを薄めても、ほとんど排便回数に影響しない
基本的に、胃腸炎のとき、ミルクを薄めるべきかは複数の研究が行われています。
研究の概要
今回は、小児の下痢において、ミルクを薄めたほうがよいか検討した研究になります。
1979-80年にイギリスから報告されたランダム化比較試験になります。
対象患者
対象となったのは、
- 胃腸炎で入院
- 18ヶ月未満
乳幼児が対象です。
治療
治療は、24時間、脱水補正をした後に、以下のような方針にしています。
- 通常のミルク
- ミルクを薄め、4日間かけて通常の濃度に戻す
のいずれかをランダムに割り当てています。
研究結果
最終的に48人が参加しています。
背景は以下の通りでした:
ミルクを | 薄めない N = 23 |
薄めた N = 25 |
月齢 | 6.6 | 6.3 |
男児 | 9 | 15 |
結果は以下の通りです:
(原著より抜粋)
下痢の平均回数は、ミルクを薄めないグループのほうが高かったです。しかし、このグループのほうが、ばらつきが大きく、外れ値の影響があるかもしれません。
入院日数や体重の変化はどちらのグループもほとんど変わりませんでした。
感想と考察
今回の研究に関しては、小児が下痢をしたときに、ミルクを薄めても、下痢の回数、入院日数、体重増加はほとんど変わらない印象です。
まとめ
今回は、乳児の下痢に対して、ミルクを薄めるべきかを検討しています。
ミルクを薄めても、下痢の回数や入院期間にはほとんど違いはありませんでした。
類似の研究は多数出ているので、今後も報告していければと思います。
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