現時点ではアトピー性皮膚炎など多くの皮膚疾患での治療の基本は保湿とステロイド外用薬です。
保湿剤の1つとして尿素入りの製剤がありますが、有効性についてはどうでしょうか。
今回は、この点について言及した論文を紹介します。
- 尿素の外用薬に関するシステマティックレビュー
- 軽度の刺激が最も一般的な有害事象
2013年に発表されたようです。
尿素の外用薬について[システマティックレビュー]
研究の背景/目的
尿素は有機化合物の一種で,100年以上前から皮膚疾患の治療に用いられてきた。
尿素は強力なエモリエントであり,角質溶解剤でもあるため,乾燥肌やうろこ肌に関連した症状の単剤療法として有効である。
皮膚科疾患の治療における尿素のエビデンスに基づいた応用例を臨床家に提供するためには、文献の系統的なレビューが必要である。
研究の方法
“urea”と”skin”,”ichthyosis”,”psoriasis”,”xerosis”,”emollient”,”onychomycosis”,”dermatitis”,および “avulsion “を組み合わせた用語を用いてPubMed検索を行った。
合計81の出版物が組み入れ基準を満たし、評価されました。
治療適応、試験薬、被験者数、治療プロトコル、結果、副作用を記録した。
研究の結果
魚鱗癬,乾皮症,アトピー性皮膚炎・湿疹,接触性皮膚炎,放射線誘発性皮膚炎,乾癬・脂漏性皮膚炎,爪白癬,足白癬,角化症,掻痒症,ジストロフィー爪などに対して尿素の有効な治療法が報告されている。
さらに、尿素は浸透促進剤として他の薬剤と併用されています。
軽度の刺激が最も一般的な有害事象であり、尿素は全身毒性のない安全で許容範囲の広い外用薬であることが証明された。
結論
尿素は安全で効果的な皮膚科治療薬であり、幅広い臨床的有用性を持ち、全身性の副作用も少ない。
患者のケアを最適化するために、皮膚科医は尿素の適応と有効性について十分な知識を持つべきである。
考察と感想
尿素の歴史は1世紀以上あり、意外と長いようですね。
尿素は、生理的に、尿素は窒素を含む生成物の代謝と排泄に重要な役割を果たしています。
尿素が最初に報告されて以来、無数の皮膚疾患に対する尿素の治療的役割について、多くの文献があり、今回はそれをまとめたレビューのようですね。
まとめ
この研究では、尿素は安全で効果的な皮膚科治療薬であり、幅広い臨床的有用性を持ち、全身性の副作用も少ないと報告されています。
接触性皮膚炎やアトピー性皮膚炎を対象に行われた研究も多数あるようで、この論文を元に個々の文献も参照してみようと思います。
アトピー性皮膚炎のおすすめ本はこちら:
保護者も医療者も、まずこの1冊!
Dr. KIDの執筆した書籍・Note
医学書:小児のかぜ薬のエビデンス
小児のかぜ薬のエビデンスについて、システマティックレビューとメタ解析の結果を中心に解説しています。
また、これらの文献の読み方・考え方についても「Lecture」として解説しました。
1冊で2度美味しい本です:
(2024/12/21 02:10:50時点 Amazon調べ-詳細)
小児の診療に関わる医療者に広く読んでいただければと思います。
医学書:小児の抗菌薬のエビデンス
こちらは、私が3年間かかわってきた小児の抗菌薬の適正使用を行なった研究から生まれた書籍です。
日本の小児において、現在の抗菌薬の使用状況の何が問題で、どのようなエビデンスを知れば、実際の診療に変化をもたらせるのかを、小児感染症のエキスパートの先生と一緒に議論しながら生まれた書籍です。
noteもやっています
当ブログの注意点について