- かぜ(急性上気道炎)の原因って何ですか?
- 原因はウイルスがほとんどって本当ですか?
- 何回くらい風邪にかかるものですか?
といった質問を受けることがあります。
今回は、こちらのご質問にエビデンスをもってお答えしてみようと思います。
急性上気道炎の疫学について
「かぜ(急性上気道炎)に抗菌薬が不要」と保護者の方々に説明する際に、実際にどのような病原体が、どのくらいの頻度で原因になっているのか知っておくと良いでしょう。こちら1が小児の急性上気道炎における代表的なウイルスの分布になります。
ウイルス |
頻度 |
ライノウイルス |
30%〜50% |
コロナウイルス |
10%〜15% |
インフルエンザウイルス |
5%〜15% |
パラインフルエンザウイルス |
5% |
RSウイルス |
5% |
アデノウイルス |
< 5% |
エンテロウイルス |
< 5% |
ヒトメタニューモウイルス |
不明 |
不明 |
20%〜30% |
かぜの代表的なウイルスといえば、ライノウイルスです。
ライノウイルスだけでも100種類以上あり、かぜ全体の50%ほどを占めるといわれています1。ライノウイルスに対しては免疫がつくのですが、種類が多く、別の種類のライノウイルスに感染すると、再度かぜをひいてしまいます1。
パラインフルエンザウイルス、RSウイルス、コロナウイルスに対しては免疫が持続しないことがあり、同じウイルスでも再度感染することがあります2。
かぜは年間に何回ひくものか?
- 保育園にいきだしてから、かぜばかり繰り返します
- 何回もかぜを引くのですが大丈夫ですか?
などとが外来で質問されることもあります。
子どもは風邪を繰り返すのですが、実際に年齢別にみて、1年間で平均何回かぜを引くのか知っておくとよいでしょう。年齢別に急性上気道炎の年間発症率をみた結果が以下の通りになります。
特に、最初の1年は、半年間は母の抗体に守られており、生後5−6ヶ月くらいから風邪を引く頻度が急にふえるため、この数字より多く感じられる方が多いと思います。
1歳未満で6回以上罹患していたかぜも、徐々に回数が減ってきます。
かぜを何度もひきながら、徐々に免疫がついていくのが、こちらをみても実感していただけるでしょう。
まとめ
今回は小児のかぜについて、
- 原因となる病原体(ウイルス)の分布
- 実際に年齢別にみてカゼをひく回数
を具体的に説明してきました。
実際のデータをみて、「こんなものか」と思えるのも重要と思います。
参考文献
- Heikkinen T, Järvinen A. The common cold. Lancet (London, England). 2003;361(9351):51-59. doi:10.1016/S0140-6736(03)12162-9
- Pappas DE, Hendley JO. The Common Cold and Decongestant Therapy. Pediatr Rev. 2011;32(2):47-55. doi:10.1542/pir.32-2-47
当ブログでは、できるだけエビデンスに基づき、Factfullnessを意識した記事にしていきたいと考えています。