小児科

こどもの蕁麻疹について解説します

  • 『急に発疹が出て、痒がっています』
  • 『急に消えて、また別の場所からでてきます』
  • 『皮膚をかくと、ミミズ腫れのようになります』

これらの症状を聞くと、「蕁麻疹かな?」と疑いたくなります。
今回は、小児の蕁麻疹(じんましん)について、解説していこうと思います。

蕁麻疹(じんましん)のポイント

  • 痒みを伴う発疹が出たり消えたり、繰り返します
  • 蕁麻疹の原因は、分からないことがほとんどです
  • 70%は1週間以内に、90%の人は1ヶ月以内に治ります
  • 激しい運動や熱い風呂への入浴は避けましょう
Dr.KID
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先ずはポイントから!

蕁麻疹の症状

 

虫さされのような、赤くて痒みがあり、少し隆起した発疹が皮膚に出現します。
上の写真のように、地図状に広がるのが特徴です。
個々の発疹は、蕁麻疹より大きいです。

数時間で消失することが多いですが、別の場所に出現して、また消えてを繰り返すのも特徴です。

70%〜80%は1週間以内に治ります(早ければ一晩だけのことも)。
蕁麻疹のあった場所は、跡が残らないのが普通です。

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痒みのある発疹が出たり消えたりするのが特徴!

蕁麻疹の原因について

 

蕁麻疹の主な原因は『ヒスタミン』という化学物質です。

アレルギーやストレスなど様々な原因で、血液や皮膚の細胞からヒスタミンが放出され、皮膚の血管を刺激して、痒み・赤み・膨隆のある発疹がでてきます。

蕁麻疹の主な原因

蕁麻疹の原因は多種多様ですが;

  • アレルギー性
  • 寒冷蕁麻疹
  • 日光蕁麻疹
  • コリン性蕁麻疹
  • 仮性アレルゲン

が代表的です。

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「蕁麻疹=食物アレルギー」とは限らないことを覚えておきましょう。

アレルギーの場合

アレルギーの場合、食事・薬・食物・ダニ・虫などが原因となります。
これらの原因物質に対して、体が過剰に反応した結果、蕁麻疹が起こっているのです。
特に、これまで食べたことがない食品を食べた後に蕁麻疹が出たら、蕁麻疹の原因の可能性があります。

物理的刺激、寒冷、日光などの場合

蕁麻疹は物理的刺激、寒冷、日光、圧迫などでも生じます。

寒冷蕁麻疹は、急に寒いところに出たり、冷たいプールに入った場合に出ます。
皮膚を冷水に浸すと蕁麻疹が出るため、比較的容易に判別できます。

日光蕁麻疹は、紫外線の刺激で皮膚からヒスタミンが放出されて出る蕁麻疹です。
特に日差しの強くなる初夏から起こることが多いです。

コリン性蕁麻疹とは、汗などで皮膚からアセチルコリンが分泌されることで起こります。
スポーツや熱めのお風呂に入ったら、急に蕁麻疹が出た場合に疑っています。

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色んなタイプの蕁麻疹があります。

仮性アレルゲンについて

仮性アレルゲンは、食物アレルギーに似ていますが、少しタイプが異なります。

食物アレルギーでは、食品内のタンパク質に対してアレルギー反応を起こすのが原因ですが、仮性アレルゲンでは食品内にあるヒスタミンやヒスタミン遊離物質により起こります。
例えば、サバが有名ですが、新鮮でないサバにはヒスタミンや遊離物質が沢山あるため、蕁麻疹が出ることがあります。

食物アレルギーの場合は、『再現性』といって、同じ食品を食べれば同じ症状がでるのですが、サバの仮性アレルゲンでは、サバの鮮度や調理法で蕁麻疹が出たり出なかったりする点が異なります。
仮性アレルゲンでは、サバ以外にも、豚、たけのこ、もち、山芋、トマト、バナナ、キウイ、パイナップル、ナスあたりが有名です。

Allergenその他の原因として、ウイルス感染、疲労、ストレスなどでも生じます。

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風邪を引いた拍子に蕁麻疹が一緒に出ることもあります。

検査で原因を調べる

一番重要なのは問診で、どのような状況で蕁麻疹が生じたのかを把握することです。
ですが、原因がかなり多いため、特定することは困難なことがしばしばあります。
感覚的ですが、原因がはっきり明言できるケースは全体の10%~20%程度の印象です。

検査はほとんどの症例で行っていません。
というのも、原因が分からずに盲目的にあれこれと検査をしても、無駄に終わることが多いからです。

また、仮に検査で陽性と出ても、信じて良いかどうか疑わしいのです。
このため、「多分、これが原因だろう」と予測が立てられる場合のみに検査をします。

特異的IgE検査

血液検査で原因となる物質を特定する方法です。
血中の特異的IgEという値をみます。
例えば、卵が原因であれば、卵に対する特異的IgEが上昇しています。
初めての卵の摂取で、全身に蕁麻疹が起きたのであれば、検査する価値はあると思います。

 プリックテスト

皮膚検査で 、疑わしい物質が分かっている場合に行います。
皮膚の上に、原因物質(例えば花粉)の入った液体を垂らし、先が少し鋭い金属などで皮膚を刺激する方法です。
血液検査ほど痛みはないのと、30分程度で結果が分かるのが利点です。

 

 負荷試験

負荷試験は、実際に食事を食べさせたり、食べた後に運動をさせたりして『再現性』を確認する試験です。

蕁麻疹の治療

治療の基本は、

  1. 原因物質の除去
  2. 抗ヒスタミン薬の使用
  3. 生活習慣の改善

になります。

1.原因物質の除去

まず原因物質の除去ですが、これは原因がわかっている場合のみ有効です。
「初めて●●を食べた」や、「●●を触ると必ず蕁麻疹が全身に出る」など、再現性が高い場合に原因を除去すると良いでしょう。
ですが、自己判断でやみくもに除去をするのはオススメしません。

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かかりつけの医師としっかり相談しながら除去を検討しましょう。

2.抗ヒスタミン薬

抗ヒスタミン薬の使用は非常に良く行います。
ヒスタミンが原因で蕁麻疹が出ているので、まずはヒスタミンをブロックしてしまえば良い、という理屈で投与します。

抗ヒスタミン薬は、使用すると比較的速やかに軽快します。
最初の1週間は再発しやすいため、最低でも3日〜5日間は飲んだ方がよいでしょう。
(第1世代の抗ヒスタミン薬の使用は副作用が強いので、注意してください↓↓) 

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 何度も蕁麻疹を繰り返す場合は、抗ヒスタミン薬を1ヶ月ほど継続し徐々に減量する場合もあります。

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長期的な内服が必要になってしまうケースもあります。

3.生活習慣の改善について

生活習慣の改善として、規則正しい生活を心がる、ストレスを軽減することも重要です。
あとは、熱い風呂・シャワーは痒みを刺激したり、蕁麻疹が再燃するきっかけになるので、ぬるめの入浴にしてもらうことが多いです。

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ほとんどは短期間で治ってしまいますが、時に長引くことがあるので、困ったらかかりつけの小児科医や、皮膚科・アレルギー科の専門医にご相談しましょう。

 

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ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。