小児の尿路感染症の起因菌と耐性化の分布を全国レベルで調査した報告がありましたので、ご紹介させていただきます。
- 児尿路感染症の抗生物質耐性の現在の全国的なパターンを調査
- 大腸菌が最も多い
- トリメトプリム-スルファメトキサゾールは広く使用されているが,耐性率が高かった
Edlin RS, Shapiro DJ, Hersh AL, Copp HL. Antibiotic resistance patterns of outpatient pediatric urinary tract infections. J Urol. 2013 Jul;190(1):222-7. doi: 10.1016/j.juro.2013.01.069. Epub 2013 Jan 28. PMID: 23369720; PMCID: PMC4165642.
2013年にアメリカから公表されたようです。
外来小児尿路感染症における薬剤耐性パターンの検討[アメリカ編]
研究の背景/目的
外来における小児尿路感染症の抗生物質耐性の現在の全国的なパターンを特徴付けることを目的として本研究が行われた。
研究の方法
米国195病院の抗生物質感受性結果と患者の人口統計学的データを含むデータベースであるThe Surveillance Network®を用いて,2009年に18歳未満の患者から分離された外来尿路感染症患者を調査した。
最も一般的な6種類の尿路病原体(Escherichia coli,Proteus mirabilis,Klebsiella,Enterobacter,Pseudomonas aeruginosa,Enterococcus)の陽性率と抗生物質耐性パターンを決定した。また、男性と女性の尿路系病原菌の有病率の違いをカイ二乗法で比較した。
研究の結果
外来患者から分離された尿路感染症の起因菌は25,418株であった。
大腸菌が最も一般的な尿路病原体であったが,大腸菌の有病率は男性(50%)よりも女性(83%)で高かった(p<0.001).
男性に多いその他の菌種は,Enterococcus(17%),P. mirabilis(11%),Klebsiella(10%)であった.しかし,これらの病原体は,女性ではそれぞれ5%以下であった(p<0.001).
大腸菌の耐性はトリメトプリム・スルファメトキサゾール(24%)が最も高く、ニトロフラントイン(1%未満)、セファロチン(15%)は低かった。
2002年のサーベイランスネットワークのデータと比較すると,大腸菌の耐性率はトリメトプリム・スルファメトキサゾール(男性23%→31%,女性20%→23%)およびシプロフロキサシン(それぞれ1%→10%,0.6%→4%)で増加した.
結論
小児の尿路感染症の原因菌は,依然として大腸菌が最も多い。トリメトプリム-スルファメトキサゾールは広く使用されているが,耐性率が高く,多くの地域で小児尿路感染症に対する経験的選択として不十分である.
第一世代セファロスポリンとニトロフラントインは耐性率が低いため、ナロースペクトラムの代替薬として適切である。経験的尿路感染症治療には、地域のアンチバイオグラムを活用することが必要である。
考察と感想
尿路感染症は、小児によく見られる病状です。
生後6年間の累積発生率は、女児で7%、男児で2%で、アメリカにおいて、尿路感染症では、 年間150万から175万人の医師が受診しているという背景があるようです。
- 大腸菌:TMP/SMXに耐性が多い
- クレブシエラ:アンピシリンに耐性が多い
- プロテウス:ニトロフラントインに耐性が多い
という特徴があったようです。耐性率が2割を超えているような場合は経験的な治療は避けた方が良いという推奨もあるようですね
まとめ
アメリカの小児の尿路感染症の起因菌を分析した研究でした。
男女で起因菌の分布はやや異なりましたが、どちらも大腸菌が多かったようです。
アメリカにおいては、ST合剤の耐性化が進んでいる点が懸念点のようです。
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