今回は、アメリカから報告された、手洗いの胃腸炎予防効果を検証した研究をみていきましょう。
先にこの研究の結論とポイントから述べましょう。
- 保育所に手洗いや清潔指導をする介入効果を検証したアメリカの研究
- 1年で、下痢の発症率が10%ほど低下したようです。
手洗いが感染症の予防効果にどのくらいあるか検証した研究はたくさんあります。
研究の概要
1981年10月〜1984年9月まで、アリゾナ州マリコパ郡の保育所に通園する乳幼児を対象に、下痢ほ発症頻度を三年間の縦断研究を実施した。
この研究の3年目に、研究者らは、保育所のスタッフを研修し下痢のサーベイランスのを実施した。
方法
研究対象となったのは3歳以下で保育所に通園する乳幼児です。
21の保育所で、クラスター・ランダム化比較試験です。
10の保育所では、感染性下痢の伝播を軽減するため、スタッフに手洗いの手技に関するトレーニングを受けさせた。
手の洗い方、手洗いのタイミング、環境を清潔に保つ方法を教える機会を設けています。
残りの11の保育所は特に介入をうけず、ポスターによる啓発とハンドアウトのみで済ませています。
結果
トレーニング介入後の下痢の発症率ですが、
- 介入グループ:0.71 cases / child-year (0.65〜0.77)
- コントロール:0.81 cases / child-year (0.75〜0.87)
でした。介入したほうが、下痢の発症率がやや低下しているのがわかります。
感想と考察
保育所スタッフを対象に、手洗いや環境を清潔に保つ方法を教えた場合、胃腸炎のリスクがやや低下する結果でした。10%ほどでしょうか。
よく啓発というと、ポスターやパンフレットが多いですが、実際に実演したほうがうまくいきそうですね。モチベーションの面や、知識や技術的な面、両方に当てはまるのでしょうね。
まとめ
今回は、アメリカの保育所を対象に行われた研究で、手洗いや環境を清潔に保つ方法を直接指導したほうが、下痢の発症率が少ない傾向にありました。
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