- 下痢の時、乳糖は避けたほうが良いのか?
急性胃腸炎のときは、小腸の乳糖分解酵素が欠乏しやすく、炭水化物の吸収が悪くなることが知られています。このため、このような議論がされているようです。
今回は、この方法にメリットがあるのかを触れた論文の解説をしようと思います。
- 小児の下痢の時、乳糖を避ける必要があるか検討した研究
- 乳糖を避けても、下痢の回数や体重変化は変わらなかったよう
乳糖を避けるべきかは、様々な研究で検討されており、今回説明した研究のみでなく、他の研究もみて、総合的な判断が必要と考えています。
研究の概要
今回は、小児の下痢において、乳糖を避けるべきか検討した研究になります。
アメリカで、1983-84年に報告されたランダム化比較試験になります。
対象患者
対象となったのは、
- 〜12ヶ月の乳児
- 胃腸炎で入院
- 下痢の期間は受診時に7日以内
の患者が対象です。
治療
治療は、点滴による脱水補正をした後に、以下のような方針にしています。
- 乳糖を含む大豆由来のミルク
- ショ糖を含む大豆由来のミルク
- Polycoseを含む大豆由来のミルク
- Polycoseとショ糖を含む大豆由来のミルク
となります。
研究結果
それぞれのグループに94人 vs. 90人ずつが参加しています。
結果は以下の通りでした
1. 下痢の回数
下痢の期間は、以下の通りでした。
ミルクの種類を変えても、あまり下痢の回数は変わらない印象ですね。
2. 体重の変化
体重変化は以下の通りでした:
乳糖の有無は、体重変化にはあまり影響がなさそうです。
感想と考察
今回の研究に関しては、小児が下痢をしたときに、乳糖を避けても、下痢の回数や体重変化には影響なさそうでした。
他の研究とは異なり、大豆由来のミルクを基本に、乳糖、ショ糖などで比較しているところが、ユニークな研究と思いました。
類似のRCTの研究でも、類似の結果があるようです。
乳糖分解酵素の人種差も気になりますね。
まとめ
今回は、乳児の下痢に対して、乳糖を避けるべきかを検討しています。
乳糖を避けても、下痢の回数や体重の推移はあまり変わらない印象です。。
類似の研究は多数出ているので、今後も報告していければと思います。
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