- ワクチン接種後に赤く腫れ上がったり、熱が出るのが怖いです
- あらかじめ解熱薬を使用すると改善しますか?
ワクチン接種後には、痛みが生じたり、熱が出ることがあるため、解熱薬の使用を希望される方もいると思います。
また、あらかじめこういった副反応が起こらないよう「予防的に解熱・鎮痛薬を」と考える方もいるようですが、実際のところ予防効果は本当にあるのでしょうか。
今回は、0〜1歳の小児において、解熱鎮痛薬がワクチン接種後の局所反応の予防に有効かを検討した研究をご紹介します。
- ワクチン接種後の局所反応に対して、解熱薬を予防的に投与することの是非を検討した論文
- 接種前後に使用すると、0歳児においては発熱や局所反応の予防効果はあるかもしれない
- 抗体の獲得率は議論されておらず、不十分な検討
Pediatric Infect Dis J . 1987 Aug;6(8):721-5.
ワクチン接種直後の解熱薬使用は、抗体獲得に悪影響をもたらす可能性があります。このため、特別な事情がない限り、避けた方が良いと私が考えています。
解熱薬の使用は、ワクチン接種後の発熱や局所反応を予防する?
研究の背景/目的
四種混合ワクチン(ジフテリア・百日咳・破傷風トキソイド・ポリオワクチン)の接種時に、アセトアミノフェンが副反応の頻度と重症度を低下させる効果があるか検討した。
研究の方法
519回のワクチン接種において、無作為化臨床試験を実施した。
生後2~6カ月の乳児は383人、生後18カ月の乳児70人が参加した。
研究の結果
2〜6カ月児
アセトアミノフェンを投与した乳児では、局所反応および全身反応が少ない傾向にあった。
例えば、38.0°C以上の発熱の発生率は、プラセボは44%で、アセトアミノフェンは27%と、アセトアミノフェンの効果が示唆された。
親が重度と評価した全般的な行動変化は、アセトアミノフェン投与群ではわずか0.9%であったのに対し、プラセボ群では13%であった。
18ヶ月児
18カ月齢でワクチン接種を受けた幼児は, 乳児よりも全身および局所反応の割合が高かい傾向にあった。
この月齢において、アセトアミノフェンは, 接種後の副反応の発生率の低下をもたらさなかった。
結論
乳児期の四種混合ワクチン(ジフテリア‐百日咳‐破傷風トキソイド‐ポリオ)の接種時に、アセトアミノフェンを投与することで、一般的な副作用の頻度と重症度を低下させることができるかもしれない。
考察と感想
1980年代にカナダで行われた研究のようですね。発熱とその他の有害事象の分布は以下の通りでした:
〜6ヶ月
P | A | |
N | 205 | 214 |
< 38℃ | 50.5% | 73.4% |
38〜39℃ | 30.7% | 23.4% |
39〜40℃ | 10.7% | 3.3% |
> 40℃ | 2.0% | 0% |
発熱しない可能性は、アセトアミノフェン(A)のグループの方が高いですね。
18ヶ月
P | A | |
N | 34 | 33 |
< 38℃ | 58.8% | 39.4% |
38〜39℃ | 26.5% | 48.5% |
39〜40℃ | 14.7% | 9.1% |
> 40℃ | 0% | 3.0% |
発熱しない可能性は、アセトアミノフェン(A)のグループの方が少なく、〜6ヶ月の乳児とは逆です。
一方で、Nは少なく、不正確な推定です。
一方で、抗体価の獲得率などは議論されていない点が懸念点です。
まとめ
今回は、カナダで行われた研究で、ワクチン接種後の解熱鎮痛薬(アセトアミノフェン)の使用が、乳児において発熱や局所反応などを軽減する効果を認めています。
一方で、ワクチン接種直後の解熱薬使用が抗体獲得率に影響するか検討されていないのが懸念点です。
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