ワクチン同時接種のポイント
- ワクチン同時接種しても、有効性は変わりません
- 同時接種をしても、副反応のリスクは変わりません
ワクチンの種類は年々増えています
『ワクチン・ギャップ』という言葉を聞いたことがありますか?
実は、日本はワクチン後進国です。
世界の先進国で行われているワクチンが、日本では普通に導入されていない期間が非常に長かったです。
この導入が遅れた期間を『ワクチン・ギャップ』といいます。
ワクチンの種類が増えたので、同時接種が合理的です
『昔は同時接種なんて、していなかったのに』と同時接種に違和感を感じる方も多いでしょう。
今の子育て世代は、幼少時に受けるワクチンの種類は今より遥かに少なかったため、このような違和感が生じています。
近年、厚生労働省も重い腰をようやくあげて、ワクチン・ギャップを埋めるために、ワクチンの導入に積極的になりました。
新しいワクチンは増える一方ですが、予防接種を受ける期限は限られるため、同時接種が必要です。
1歳未満で必要なワクチン接種数は16回前後
例えば、1歳未満でうけるワクチンは16本くらいあります。
(インフルエンザワクチンを除くと)
- 肺炎球菌:3回
- Hib:3回
- B型肝炎: 3回
- 4種混合:3回
- ロタウイルス:2〜3回
- BCG:1回
- (インフルエンザ:2回)
1回の受診で1本しか接種しないと、16回も医療機関に受診しなければなりません。この場合、ワクチンの接種が完了するのに、なんと8ヶ月程度かかってしまいます。
同時接種を行えば、4〜6回で済みます。
最短で生後5〜6ヶ月で接種がほぼ完了するのです。
他の先進国も同時接種が普通ですよ
ワクチンギャップの期間は、予防接種の種類もそれほど多くなかったので、同時接種が必要なケースはほとんどありませんでした。
このため、未だに『一度に一種類しか打ちたくない』という小児科医すらいます。
しかし、同時接種は世界的に20年以上も前から行われてきた方法です。
同時接種をしても効果は変わらないですよ
『ワクチンを同時接種しても、効果は変わらないのでしょうか? 』
と質問されることもあります。
結論からいうと全く問題ありませんし、同時接種をしたからといって、ワクチンの効果は落ちません。
日本以外の先進国では、普通にワクチンの同時接種を行っているため、同時接種自体はごくごく普通のことです。
同時接種による副反応について
『同時接種は危険なのでしょうか? 』と聞かれることもあります。
複数のワクチンを同時に打ったとしても、ワクチン接種の有害事象や副反応は変わりません。
つまり、単独でワクチン接種をしても、同時に行っても、副反応のリスクは変わらないのです。
同時接種できるワクチンの本数について
『同時接種できるワクチンの本数に制限はありますか?』という質問ですが、答えは、特に制限はありません。
本数に制限は無く、同時にいくつ接種しても問題はありません。
特にワクチン接種の本数が多い、3〜4ヶ月のお子さんは4本以上同時接種するケースもあります。
例えば、3ヶ月のお子さんですと;
- 肺炎球菌
- Hib
- 四種混合
- B型肝炎
- ロタウイルス
と5つ同時に行うこともあります。
同時接種後に死亡した例がいると聞きました。詳しく教えて下さい。
2011年の2月に、肺炎球菌ワクチンとHibワクチンを同時接種した乳幼児の死亡例が7件報告されました。
その後の詳しい調査で、ワクチンの品質に問題は無く、同時接種と死亡に明確な因果関係はないことがわかっています。
死亡例はもともと重症な心不全のあるお子さんやミルクの誤嚥で窒息した例だったのです。
ワクチンとは関係のない紛れ込み事例が厚生労働省に報告されていただけなのです。
つまり、基本的に同時接種をしても、副反応のリスクはかわらないのです。
マスコミや医療知識に乏しい方の風評には鵜呑みにしないように注意しましょう。