- ワクチン接種後に赤く腫れ上がったり、熱が出るのが怖いです
- あらかじめ解熱薬を使用すると改善しますか?
ワクチン接種後には、痛みが生じたり、熱が出ることがあるため、解熱薬の使用を希望される方もいると思います。
また、あらかじめこういった副反応が起こらないよう「予防的に解熱・鎮痛薬を」と考える方もいるようですが、実際のところ予防効果は本当にあるのでしょうか。
アセトアミノフェンを使用した研究は複数あり、今回はシステマティックレビューとメタ解析をご紹介します。
- ワクチン接種後の解熱薬を予防的に投与することの是非を検討したメタ解析
- 発熱や著しい不機嫌のリスクは減る印象
- 抗体獲得への影響は評価されていない
PLoS ONE 9(9): e106629.
パラセタモール=アセトアミノフェンです
アセトアミノフェンは、ワクチン接種直後に使用すると、発熱などのリスクは減少するか?
研究の背景/目的
予防的解熱薬投与はワクチン接種後の副作用を減少させる。
最近の研究では,いくつかのワクチン抗原に対する抗体反応を低下させる可能性もあることがわかっている。
この系統的レビューは,小児のワクチン接種後における予防的解熱薬投与が,有害事象および抗体反応にどのように影響するかを評価した。
研究の方法
MEDLINEおよびEMBASEを含む主要データベースの系統的検索を2014年3月まで実施し, 6歳以下の小児における予防的解熱薬とワクチン接種後のプラセボを比較したランダム化比較試験 (RCT) を含めた。
二人の査読者が独立して適格基準を適用し,方法論的品質に関する研究を評価し,データを抽出した[PROSPERO登録:CRD 42014009717]。
研究の結果
検索した2579の引用のうち,合計13のRCT (5077人の子供を含む) をレビューに含めた。
ワクチン接種後の予防的な解熱薬投与は,初回および追加接種後の発熱反応 (38.0°C以上) を減少させた。
2群間で抗体反応に統計的有意差があったが,次および追加ワクチン接種後に予防的に解熱薬を使用した群は、全ての抗原に対する抗体の防御レベルと考えられるレベルを有していた。
予防的に解熱薬を使用した群とそうでない群の間で, H.influenzaeまたはS.pneumoniae血清型の鼻咽頭保菌率(短期・長期)に有意差はなかった。
初回ワクチン接種後に局所および全身症状の有意な減少が認められたが,追加ワクチン接種後には認められなかった。
結論
予防的解熱薬投与は,一次ワクチン接種後の局所および全身症状の軽減につながるが, S.pneumoniaeおよびH.influenza血清型の鼻咽頭保菌率に何ら影響を及ぼさずに,いくつかのワクチン抗原に対する抗体反応の低下がみられる。
今後の試験およびサーベイランスプログラムは、解熱薬を予防的に投与するプログラムの有効性を評価することも目的とすべきである。
解熱剤の投与時期については,その有益性と危険性を説明した上で,親と話し合うべきである。
考察と感想
実際のデータを見てみましょう。著者らはORで比較していましたが、リスク比に変換して、固定効果とランダム効果の双方を計算すると以下のようになります:
初回接種の乳幼児において、解熱薬を予防的に投与すると、発熱のリスクは40%( x 100%)ほど減少しているのが分かります。
まとめ
今回は、ワクチン接種後の解熱鎮痛薬(アセトアミノフェン)の使用が、発熱のリスクを軽減するかみたメタ解析になります。
解熱薬を予防的に使用することで、発熱の可能性は、リスク比にして40%ほど軽減することができるようです。
一方で、抗体産生への研究は不十分で、ルーチンに使用すべきではない点に留意すべきです。
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