今回は、小児の静脈アクセスに関連する血栓症の小児に対する遺伝性血栓症検査に関してです。
この推奨を「choosing wisely」ではどのように記載されているのか紹介してみようと思います。
- Choosing wisely:静脈アクセスに関連する血栓症の小児に対する遺伝性血栓症検査
- ルーチンでは使用しない
American Academy of PediatricsからのChoosing Wisely
静脈アクセスに関連する血栓症の小児に対して、家族歴が陽性でない場合は、遺伝性血栓症検査をルーチンにしない[Choosing wisely]
Don’t order thrombophilia testing on children with venous access (i.e., peripheral or central) associated thrombosis in the absence of a positive family history.
Testing for inherited forms of thrombophilia does not influence the initial management of a first episode of provoked venous thrombosis and should not be performed routinely. The results of such testing have not been shown to either predict recurrence of venous thrombosis or inform the intensity or duration of anticoagulant therapy. Thrombophilia testing has substantial financial cost, and a positive result has the potential for misinterpretation of risk assessment leading to undue psychological distress or impact on childbearing plans, as well as possible life insurance discrimination for affected patients.
静脈アクセス(末梢または中心)に関連する血栓症の小児に対して、家族歴が陽性でない場合は、遺伝性血栓症検査をルーチンに指示しない。
遺伝性血栓症の検査は、誘発された静脈血栓症の最初のエピソードの初期管理には影響しないので、ルーチンで実施すべきではない。 このような検査の結果は,静脈血栓症の再発を予測したり,抗凝固療法の強度や期間を決定したりするものではありません。
血栓症検査には多大な経済的コストがかかります。また、検査結果が陽性であった場合、リスク評価を誤って解釈し、過度の心理的苦痛や出産計画への影響を与える可能性があり、さらには患者が生命保険に加入できない可能性もあります。
考察と感想
小児の静脈アクセスに関連する血栓症の小児に対する遺伝性血栓症検査に関してでした。
日本と国外では疾患の分布が異なりそうなので、なかなか難しい内容ですね。保険の加入の話が出てくるあたり、実にアメリカらしい表現と思いました。
参考文献も読んでみようと思います:
Baglin T, Gray E, Greaves M, Hunt BJ, Keeling D, Machin S, Mackie I, Makris M, Nokes T, Perry D, Tait RC, Walker I, Watson H. Clinical guidelines for testing for heritable thrombophilia. British Journal of Haematology. 2010 Apr;149(2)209-220.
Chalmers E, Ganesen V, Liesner R, Maroo S, Nokes T, Saunders D, Williams M. Guideline on the investigation, management and prevention of venous thrombosis in children. British Journal of Haematology. 2011 Jul;154(2)196-207.
National Institute for Health and Care Excellence. Venous thromboembolic diseases: diagnosis, management and thrombophilia testing. 2015 Nov; Retrieved from www.nice.org.uk/guidance/cg144.
Scottish Intercollegiate Guidelines Network. Prevention and management of venous thromboembolism. 2014 Oct; Retrieved from www.sign.ac.uk/sign-122-prevention-and-management-of-venous-thromboembolism.html.
まとめ
今回は、小児の無症候性の自己免疫性好中球減少症に対するG-CSFに関するchoosing wiselyをご紹介しました。
これ以外にも項目が出ているようなので、コツコツと読んでいこうと思います。
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Dr. KIDの執筆した書籍・Note
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小児のかぜ薬のエビデンスについて、システマティックレビューとメタ解析の結果を中心に解説しています。
また、これらの文献の読み方・考え方についても「Lecture」として解説しました。
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小児の診療に関わる医療者に広く読んでいただければと思います。
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日本の小児において、現在の抗菌薬の使用状況の何が問題で、どのようなエビデンスを知れば、実際の診療に変化をもたらせるのかを、小児感染症のエキスパートの先生と一緒に議論しながら生まれた書籍です。
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