前回に引き続いて、パキスタンでおこなわれたヨーグルトとキチリー(khitchiri)が、小児の二次性乳糖不耐症に有効であるかを検証しています。
キチリー(khitchiri)は、インドやパキスタンで作られる米とレンズ豆でできた料理のようです(この料理について私は詳しくないです。悪しからず…いつか食べてみようと思います)。
小児が下痢に罹患した場合、だいたいですが1週間前後あれば便が改善することがほとんどです。
ですが、時に2週間以上も下痢がだらだらと続いてしまうことがあります。
よくある原因として、腸からの吸収不良であったり、二次性の乳糖不耐症です。
二次性の乳糖不耐症の場合、乳糖を一時的に制限したり、乳糖を分解してくれる薬を内服することで対処することが多いです。
ですが、途上国ではこういった乳糖フリーのミルクや、薬は入手困難なことがあるため、代わりとなる治療がないかを検証しています。
研究の方法
今回の研究はパキスタンで行われ、
- 14日以上の下痢がある
- 便のpHなどから乳糖不耐と判断された
- 栄養不調がある
患者を対象にランダム化比較試験がされています。治療は、
- キチリー(khitchiri)とヨーグルト:KY
- キチリー、ヨーグルト、豆乳:KY-Soy
- キチリー、ヨーグルト、牛乳:KY-B
の3つで比較しています。
研究のアウトカムは、
- 下痢の頻度
- 下痢の量
- 体重増加
- 治療の成功率(14日後)
を比較しています。
研究結果と考察
最終的に95人の患者が研究の対象となっています。
内訳として、KYが37人、KY-Soyが36人、KY-Bが22人でした。
対象患者の背景ですが、
- 12〜17ヶ月が平均
- 体重は6〜7kg(<–かなり少ない)
- 44〜75日ほど下痢が続いている
といった状況です。
アウトカムについて
臨床的なアウトカムについては以下の通りです:
KY | KY-Soy | KY-B | |
下痢の頻度, n/d | 3.9 | 5.9 | 6.0 |
下痢の量, g/kd/d | 40.1 | 56.9 | 61.3 |
体重増加, g/kg/d | 6.9 | 7.6 | 3.9 |
治療の成功 | 92% | 86% | 77% |
全体としては、キチリーとヨーグルトの組み合わせが最も成績がよさそうでした。
具体的には、下痢の頻度は2回ほど少なく、下痢の量も体重あたり15-20gほど少なく、治療の成功率も最も高いです。
一方、牛乳を使用した場合はやはり成績が悪いですね。
考察と感想
ややサンプル数が少ないので、ランダムエラーの可能性が否定できないと思いました。例えば、月齢はKYグループは17.2ヶ月なのに対し、KY-Bは13ヶ月です。
この時期の4ヶ月の差は、たとえ統計学的な有意差はなくとも、臨床的には大きいと思います。
また、下痢の期間もKY-Bのグループのほうが1ヶ月ほど長いため、かなり不利な条件だったのかもしれませんね。
一般化可能性(generalizability)やtransportabilityについても、慎重になったほうがよいかもしれません。
日本の小児と、今回のパキスタンの小児の栄養状態はかなり異なります。
まとめ
今回のパキスタンで行われた研究では、ヨーグルトは小児の長引く下痢に使用すると、下痢の頻度や量がへり、改善する可能性が上昇する印象でした。
日本の小児への、一般化可能性については、かなり慎重に捉えています。
インド料理の紹介をしていたら、昔、インドに旅行に行ったことを思い出しました。
確か旅行前に、こちらの本を読んだ記憶があります。
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中谷美紀さんのインド旅行で、女優さんですが一人でインドを放浪していたらしいですね。確か当時、嫌われ松子の一生に出演して、その後に気分転換にインドに旅行した経緯を思い出しました。