- プロバイオティクスは小児の下痢を短縮する
- ヨーグルトにプロバイオティクスは入っている
- ヨーグルトは小児の下痢に効く?
なんとなく正しそうですが、実際にヨーグルトを使用した研究でないと分からないところもあります。
今回は、過去に行われたシステマティックレビューとメタ解析の結果を参考にしながら、ヨーグルトに下痢期間の短縮効果があるのかをみてみましょう。
システマティックレビューとメタ解析
もともとの研究数は少ないですが1–3、ヨーグルトが小児の急性胃腸炎に有効かを検討したシステマティックレビューとメタ解析もあります4。2つのRCTを統合したメタ解析をしていますが、ヨーグルトを摂取しても下痢の期間短縮効果は9時間とわずかです。治療失敗率も比較していますが、ヨーグルトを使用しても、治療失敗のリスクはわずかしかさがりません[リスク差, -0.8%; 95%CI, -6.9%–5.2%; NNT, 125]。
Bhatnagerらは治療成功率を治療開始2日、3日、7日目に比較していますが、治療成功率はヨーグルトを使用してもほとんど変わらないです(左図)。入院日数に関しても、0.3日ほど短縮させる効果があるのみで(95%CI, 0.59-0.00)、臨床的にはあまり重要な短縮効果ではないでしょう。
胃腸炎は下痢や水分・栄養摂取不足で体重が減少してしまうことがあります。ヨーグルトが体重増加効果は示唆されていますが、50g程度とわずかなメリットのみです。
まとめ
研究数が少なくエビデンスとしては限定的になりますが、小児の急性胃腸炎にヨーグルトを使用しても、
- 下痢や入院期間の短縮効果は半日未満
- 治療失敗/成功率に与える影響もわずか
- 体重増加への寄与もわずか
と治療効果は限定的です。
少しこのデータを逆説的に考えると、乳製品を小児の下痢時に飲食しないよう指導する医師もいますが、ヨーグルトに関してはあまり悪影響もしない印象です。
以上のデータをまとめると以下のようになります。
参考文献
- Pashapour, N. & Iou, S. G. Evaluation of yogurt effect on acute diarrhea in 6-24-month-old hospitalized infants. Turk. J. Pediatr.48, 115–8
- Boudraa, G. et al.Effect of feeding yogurt versus milk in children with acute diarrhea and carbohydrate malabsorption. J. Pediatr. Gastroenterol. Nutr.33, 307–13 (2001).
- Bhatnagar, S., Singh, K. D., Sazawal, S., Saxena, S. K. & Bhan, M. K. Efficacy of milk versus yogurt offered as part of a mixed diet in acute noncholera diarrhea among malnourished children. J. Pediatr.132, 999–1003 (1998).
- Patro-Gołab, B., Shamir, R. & Szajewska, H. Yogurt for treating acute gastroenteritis in children: Systematic review and meta-analysis. Clin. Nutr.34, 818–824 (2015).