今回は、スコポラミンとd-アンフェタミンの組み合わせに代わる、高度の乗り物酔いの治療薬として、どのような組み合わせがあるか検討した研究となります。
- スコポラミンとd-アンフェタミンの組み合わせに代わる、高度の乗り物酔いの治療薬として、どのような組み合わせがあるか検討したマウスでの実験
- スコポラミンとmodafinilの併用は、スコポラミンとd-amphetamineの併用と同等の効果を示した
- この併用により中枢神経が興奮し、スコポラミンによる不安感が消失することが確認された
Zhang LL, Liu HQ, Yu XH, Zhang Y, Tian JS, Song XR, Han B, Liu AJ. The Combination of Scopolamine and Psychostimulants for the Prevention of Severe Motion Sickness. CNS Neurosci Ther. 2016 Aug;22(8):715-22. doi: 10.1111/cns.12566. Epub 2016 May 9. PMID: 27160425; PMCID: PMC6492890.
2016年に中国から公表されたようです。
乗り物酔い予防におけるスコポラミンとd-アンフェタミンの組み合わせに代わりはあるのか?[中国編]
研究の背景/目的
精密な航空・海洋・救急業務を行う人にとって、激しい乗り物酔いは大きな障害である。
スコポラミンとd-アンフェタミンの併用は、激しい乗り物酔いの防止に最も効果的である。
しかし、d-アンフェタミンは乱用される可能性があるため、現在の処方にはこの組み合わせは含まれていない。
そこで、スコポラミンとd-アンフェタミンの組み合わせに代わる、高度の乗り物酔いの治療薬として、どのような組み合わせがあるか検討した。
研究の方法
スコポラミンとd-アンフェタミンの組み合わせに代わる、高度の乗り物酔いの治療薬として、どのような組み合わせがあるか検討した。
研究の結果
スコポラミン、ジフェンヒドラミン、グラニセトロン(3種類の薬物)の効果を投与量を変えて比較したところ、スコポラミンが最も有効であることが分かった。
また、スコポラミンが治療量において中枢神経を抑制し、不安を引き起こすことも分かった。
次に、異なる用量の精神刺激剤(d-amphetamine、modafinil、caffeine)と組み合わせて、乗り物酔いに最適な組み合わせを探した。
スコポラミンとmodafinil(1+10 mg/kg)の併用は、スコポラミンとd-amphetamine(1+1 mg/kg)の併用と同等の効果を示し、この併用により中枢神経が興奮し、スコポラミンによる不安感が消失することが確認された。
結論
スコポラミンとモダフィニルの最適な用量比は1:10である。
この組み合わせは、乗り物酔いに有効であり、スコポラミンの副作用を消失させることができる。
従って、重度の乗り物酔いに対するスコポラミンとd-アンフェタミンの良い代替品になるかもしれない。
考察と感想
背景として、重度の乗り物酔いに対しては、スコポラミンとD-アンフェタミンの併用が最も有効であることが報告されていたようです。
モダフィニルとカフェインは、覚醒、認知、覚醒、学習、記憶に対して有益な効果を持ち、乱用リスクはほとんどないことから、アンフェタミンの代用にならないかと模索されたようです。
動物実験では有効性が示唆されたようですが、別で行われたヒトでの研究では否定的な結果が出ています。
まとめ
スコポラミンとd-アンフェタミンの組み合わせに代わる、高度の乗り物酔いの治療薬として、どのような組み合わせがあるか検討したマウスでの実験になります。
コポラミンとmodafinilの併用は、スコポラミンとd-amphetamineの併用と同等の効果を示し、この併用により中枢神経が興奮し、スコポラミンによる不安感が消失することが確認されたようです。
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